月が綺麗ですね。




✱✱✱✱✱✱✱✱



ーーーーまた、雨の音で目が覚めた。


さっきよりも少し体が軽いような気がして、起き上がる。

なんとなく、唇に触れた。


「夢…かな…?」


そうであって欲しい。

ような、現実であって欲しいような。


ダメだ、頭がぐるぐるする。


有り得ない。本当に有り得ない。

好きだけど、たしかに好きだけど、これ以上好きでいたって、椎名くんはずっとあのままだ。

きっと、好きでいたって意味がない。

あんなにはっきり断られたんだから、もう望みなんてない。



無いはずなのに………



「本当に…ズルいよ…」


唇にはまだ、あの体温が残っている気がして、

震えているのは、感覚を思い出しているのか、

また、泣きそうになっているからなのか。


振り切るように、ベッドを降りた。

けだるい熱を冷ましたくて、水を飲もうとリビングに入る。

冷蔵庫には、スポーツドリンクと、いつも、私が休むときに持ってきてもらうものが入っていた。



そうだ、彼の唇も、熱かった。


熱のある私よりも、熱いんじゃないかと思うくらいに。


そのまま、溶けてしまうような、



「…っ………」



キスだった。




キッチンの先。

ソファには、眠る椎名くんがいた。