『大丈夫、―…』

隣で言葉を発するお母さん。

だけどなにひとつ、私の耳には入ってなんて来なくて。


『…やだよっ…』

車が止まった瞬間、勢いよく駆け出した。

『走らないでねー』

後ろからも横からも聞こえてくる声。

どんな言葉をかけられてもその足は止まることなくて。


『…空雨…っ!』

私は白い建物の中にある、白い扉を開けて名前を叫んだ。


そしてその中にいたのは、

『あ、雫』

元気そうに大好きなプリンを頬張っている、空雨の姿だった。