その後は他愛もない、ただの仕事話をした。 空雨のこと…聞いてくるのかなってずっと思っていたが何も聞いては来ず。 「じゃあ、今日はありがとな」 「いえ、こちらこそ。ごちそうさまでした」 お会計の時払おうとする私の手を止めて、スッと払ってくれた吾彦さん。 「別にいいよ。あー…」 「…?」 背中を向けて歩きだそうとしたとき戸惑った声が聞こえ、振りむく。 そこには何かを悩んでいるかのような彼の姿があって― 「どうかしたの?」 そう声をかけるとパッと顔をあげた。