空から雨が降る日。【完】




その後は他愛もない、ただの仕事話をした。

空雨のこと…聞いてくるのかなってずっと思っていたが何も聞いては来ず。


「じゃあ、今日はありがとな」

「いえ、こちらこそ。ごちそうさまでした」

お会計の時払おうとする私の手を止めて、スッと払ってくれた吾彦さん。

「別にいいよ。あー…」

「…?」

背中を向けて歩きだそうとしたとき戸惑った声が聞こえ、振りむく。


そこには何かを悩んでいるかのような彼の姿があって―

「どうかしたの?」

そう声をかけるとパッと顔をあげた。