空から雨が降る日。【完】




「すみません、お待たせしてしまって」

「ははっ堅苦しいね」

「まあ…一応仕事上でのご関係なので」

「へえ。俺はそれ以上になりたいと思ってるんだけどね」

「…は?」

「怖い怖い。怒んないでよ。あ、何飲む?これでいい?」

メニューを指差す彼にはいと頷くと、すぐに店員さんを呼んで注文してくれる。


昨日は余りこういった場面を見ていなかったから、優しいんだなとは思う。

けど、いつ何の話を振ってくるのかわからなくてソワソワしてしまう。


「そんな警戒しないでよ」

「え…警戒なんて…別に」

「手、震えてるし」

「…あ、」

水を持とうとした手が震えていることに気付き、もう片方の手を添える。