診察が終わり、薬を貰って病院を出る。
家までの道は20分程度。
なのに、なんでだろう。
中々家路が出てこない。
前を向いて歩いても一向に進まなくて。
「おかしいな…」
笠原さんが言った言葉が私の頭から離れてくれなかった。
......だって、じゃあなんで?
あの人は全て知っていたのに。
私に近づく理由なんてなかったはずなのに―…
私を恨んでいても、おかしくないはずなのに―…
考えても、考えてもわからない。
だけど答えなんて、出なくて。
私は重たい足を引きずるかのようにして歩いた。
そして約一時間かけて歩き着いた家の前には優子の姿があって。
「ゆう、こ…っ」
私はその姿を見た瞬間、我慢していた涙が溢れ出てしまった。

