『あめー!』
『しずくー!』
お互いの名前を呼びながら走り回っているまだ幼い頃。
『しずくはおれのおよめさんになるの!』
『およめさんてなあに?』
『いちばんたいせつなひとってことだよ!』
『じゃあしずくのおよめさんもあめだね!』
『ぼくはおんなのこじゃないよ…』
まだ、恋とか愛を知らなかったあの頃。
―『なにが起こるかわかんないから』―
―『雫が、好きだ』―
ぱっと思い出すあの瞬間。
苦しくなって、閉じていた目を開けた。
出てこないで、お願い。
そう願って、願って、願い続ける。
だけど、空雨は私から離れてくれなくて――…
気が付けば外の天気はザーザーと大雨へと変わっていて。
私は怖くて、目をぎゅっと瞑った。

