「お邪魔しました―…」
まだ寝ていたおばさんを起こさないようにそーっとドアを閉める。
「よしっ!今度こそ出発だ」
気合を入れて、私はあらためて事務所に向かった。
―――――…
――…
「お、おはようございますっ」
事務所に着くとやっぱりもう上司は来ていて。
「お早いですね」
「目が覚めて」
「はは、私もです」
前と、同じだ。
「会議室行くか?」
「はい。掃除しようと思って」
「じゃあ、一緒に行こう」
「ありがとうございます」
鞄を置いて上司と共にエレベーターに乗る。
「そういえば今日最後なんだってな」
「え?」
「吾彦さん」
「あー…はい。そうみたいです」
急に出た晴太の名前に声が震える。

