空から雨が降る日。【完】




「んんん…、」

朝目が覚めるといつもと同じように外ではちゅんちゅんと小鳥の囀りが聞こえる。

「あっ…そうだ今日」

そう。今日は待ちに待ったあの時の企画会議の日。
あの日、一生懸命考えた案を提出する日だ。

担当にしてもらったからには、さっさと行って支度をしなくてはならない。

私は急いで下に降りて顔を洗う。
そしてスーツに着替え鞄を持つ。

「あら、もう行くの?」

キッチンの方からお母さんの声がするが、そのまま玄関へと足を運ぶ。

「うん、今日は急いでるの!」

「そう、気を付けていくのよ」

「はーい。行ってきまーす!」

ガチャっとドアを開けて、外に出る。

「うお…っ朝は寒いね」

ぶるっと腕を振るわせながら、門を開けて出る。

「あっ…いけない」

事務所までの道を歩いていた私の足はくるりと回って、家の方向に戻る。

「おじゃましまーす…」

朝早く、ガチャっとドアを開けて入った先は、恒例の空雨の家で。

「…空雨、行ってくるね」

手を合わせ、挨拶をする。