「なんか、可愛いね。優子」

やっぱり、男子が優子を狙う理由が、わかる。
女から見ても可愛いもん、凄く。

「な、なに言って…んのよ!ばか!それより雫はどうなの?」

「え、私…?」

「空雨くんのこと。もうあまり思い出さなくなった?」

「あー…うん、まあ」

「そっか、そりゃよかった」

晴太がいなくなってから。
晴太と会わなくなってから。

空雨のことについて怖がる理由がなくなった。

今まで空雨のことを聞かれるのが凄く怖くてびくびくしていた。
だけどそれももう、ない。

だからここ最近は空雨のことを思い出す日も減ったと思う。
優子が言うように少しずつ、少しずつだけどいい思い出に変えていけているのかもしれない。

だけどやっぱり、自分の中で何かがあるとすぐに浮かんでくるのは空雨の顔で。

雨が降っている日、雷が鳴っている日。
空雨が関わっていたことになると、やっぱり思い出して苦しくなる。

やっぱり空雨は私のことを許していないんだって。

そう、実感するの。