周りがみてる。
みんながこっちを向いている。
怖い、怖い。
嫌だ、変な汗が出る。
いやだ。
「―またご連絡致します。はい、すみません。失礼いたしました」
ガチャっと電話を切る音が鳴り響く。
その間にも辺りはざわつきをやめない。
「なになに?どうしたんだ?」
「いつ来るんだよ」
「まだかよ」
「濡れてまで来たんだぞ。なしってことはないだろうな」
みんなの声が、私の耳に届く。
どうしよう。
そう思っていてもやらないと…言わないといけないことは一つで。
「星埜?」
横から上司の声がした途端、私は勢いよく頭を下げた。
「すみません…!私のミスで、日にちを勘違いしていたらしくて…っ」
「は…?」
謝った途端、聞こえてくる周りの声。
それも、そのはずだよね。

