空から雨が降る日。【完】




それからというもの、仕事仕事の日々だった。

夜に優子と何度か飲みにはいったけど、別に苦しいこともなくて。
最近はずっと晴れていて、空雨を思い出して泣くことも減った。

ゆっくりだけど少しずつ、少しずつ前に進めている。

そんな気が、していた。


なのに―…

「うわぁ…雨だな」

「雨、ですね」

水曜日。
今日は企画の工程を進める日だった。

いつものように会議室に私たちとあと二社が集まる。

だけど外はあいにくの雨。

「私、傘入れ、出してきますね」

そう言ってエレベーターに乗って下に降り、倉庫から傘入れを取り出して入り口に置いた。


この日のために上司と考えて企画も考えた。

しっかり日にちも時間も伝えたし…それに晴太に会うのももう何度目かな。
だけどもう慣れた。仕事上だけの関係には。

私は事務所に戻って、上司を連れ一緒に会議室へと向かった。