「ほら、皆さんお探しですよ」
「え…いや、でも…」
「これは吾彦さんには関係のないお仕事です。…お帰り下さい」
椅子を片付けるのも、会議室を綺麗にするのも私たちの会社のことだ。
晴太には、関係ない。
私と晴太が関係している仕事はただ一つ。
取り引きのときだけだ。
それ以外は、もう関係ないのだから。
「…じゃあ。また」
「はい。お気を付けて」
鞄を持った晴太に、お辞儀をして見送る。
あぁ……苦しく、なかったな。
昨日は今日晴太に会ったらどうすればいいのかなって思いながら眠りについた。
だけど大丈夫だ。
この元気さがあれば全然。
「おーい星埜~はやくしないと帰れないぞ~」
私は上司にそう言われ、さっさと帰ろうと腕を動かし続けた。

