「じゃあ、お疲れ様でした」
――会社の人たちが一斉に部屋を出ていく。
私は会議室の椅子を片付けようとみんなより後に出る。
「あ、し…星埜さん」
「…あ、吾彦さん」
椅子を重ねていると扉の方に立っていたのは、晴太で。
一瞬合った目をすぐに、逸らした。
「俺も…手伝いますよ」
そう言って椅子を重ねていく彼。
いやだ。
別に、いなくていいのに。
そう思った私は振り返って「大丈夫なのでお帰り下さい」と告げる。
「いやでも…俺たちも使いましたし」
「これは私の仕事なんで。吾彦さんには関係のないことですよ」
仕事上。
それはどこまで、頼っていいものなのだろうか。
一緒に会議室を片すのは?
ありなのだろうか。
わからない。
だから私は晴太を、突き放す。

