ドサ、と鞄を置いて服を脱ぐ。
涙なんて出ない。
別にこんなの慣れっこだもん。
昔から信頼し始めた人がいなくなるのは。
だけど、あれ?
なんでかな。なんでこんなに苦しいのかな。
なんで―…
“星埜さん”
その言葉が頭に残るのかな。
その日はもうなにをすることもなにを考えることもできず、私はベッドに寝転がり眠りについた。
そして次の日、
「いってきまーす!」
朝の日課、空雨への挨拶をすませ何事もなかったかのように家を出た。
「おはようございます~」
「星埜、おはよ」
「あ、おはようございます」
私の後ろから入ってきた上司に挨拶を返す。

