空から雨が降る日。【完】




「ここ、だから。ありがとね」

「あ、…あぁ」

結局そのまま家に着き、ありがとうと言ってガチャと門をあける。
晴太は何もいわずただ私を見ているだけ。

これで終わり。
もう晴太とは仕事でしか会うことはないんだ。

安心していいことなのに。
なんでだろう、…嫌だな。

「はる…「これからはもう仕事上での付き合いだ。…星埜さん」


“星埜さん”

そう言われた途端、弾んだ胸。

あぁ…そうか。そういうことなんだ。
もう、晴太は私のことをなかったことにしたいのか。

そりゃ、そうだよ。その通りだよ。
こんなめんどくさい女。
友達にしておくのだって、めんどくさいよね。

そうだ、その通りだ。
大丈夫。大丈夫。わかってるもん。…平気。


「…はい
また、会議で。」

私はそれだけ言うと玄関のカギをあけて、家に入った。