空から雨が降る日。【完】




「雫、待てって。危ないだろ」

「大丈夫。酔ってないもん」

「酔ってるだろ、身体フラフラしてるじゃん」

今にも倒れそうな私の肩を掴んで横を歩いてくれる。

本当にもう、酔ってないもん。

さっきまでは確かに酔っててなにがなんだったのか曖昧だけど。
もう今はハッキリしてる。身体はまだ、それについてきていないだけ。

「だいじょうぶ~!」

私は晴太の肩から自分の腕を外して歩き始める。

だけど心配だから、なのか。
晴太はずっと後ろをついてくる。
そんな晴太にピタッと止まる、私の足。

「晴太は、優しいね」

そして振りむき、笑みを見せる。

きっと晴太は空雨のことを知っていて空雨のことが知りたいのに、私が泣くから空雨の話をしないでくれている。

優しくて、優しくて、良い人で。


本当、最初に会ったころとは大違い。


だから、なのかな。

「会わない」

そう言われた時、悲しくて寂しくて―…