「あー諦めよ…帰ろ帰ろ~」
とお手上げだと言うように手をあげる。
私はその優子のいた場所に立ち、ガシャンとコインを入れる。
「雫?」
優子の声が届いてくるが、集中してそのぬいぐるみを見る。
そしてドサッと音がしたと同時に、景品口の方には優子が欲しがっていたぬいぐるみが落ちていて。
「えぇぇぇぇ!なんで!?うそ!すご!え!」
それをみてうわぁ!と叫んでいる優子。
私が「はい!」と笑顔で渡すと、あの頃の私と同じような顔で笑顔を作る。
そして「ありがとうぅ!!」そう言われて、優子の身体が私に襲い掛かってきた。
昔はどんなに頑張っても、私じゃ取れなくて。
その度にいつも、いつも空雨が取ってくれていた。
…ねえ私、少しは成長できているのかな。
空雨がいなくなって私、一人でもできること多くなったのかな。
そのあと私たちはショッピングモールを出て、家路を歩いて行った。

