そしてお財布がとうとう空になった時、
『お前下手くそだなー』
後ろからやってきた空雨に目を移した。
『…空雨』
『もうやめんの?』
『…お金ないし。別にそこまで欲しい奴じゃないし』
取れなかったことが悔しくてずっと見ていたであろう空雨に嘘をつく。
『みんなのとこ、もどろ』
そう言って先を歩いたとき、ガタッゴトッと後ろで音がしたのが聞こえた。
『ちょ、空雨??なにして…っ…て……え?』
振り返って空雨の方を向いた瞬間、目にドアップで映り込んできたのは、私の大好きな欲しかったぬいぐるみで。
『え…これ、』
『欲しかったんじゃねえの?』
『えっ…でも、』
『俺、天才だからね~』
そう言ってそのぬいぐるみをほら、と私に渡して先を歩く空雨。
私はただそのぬいぐるみを受け取りぎゅっと抱きしめ空雨の後に続いて、『空雨、ありがとう』そう、告げた。
「うわぁぁ!取れなかった…」
ふと我に戻ると、目の前ではあぁと頭を抱えている優子がいて。

