『雫』
名前を呼ばれ振り向くと、ニコッと笑ってる彼の姿がそこにはあって。
『…?』
頭の上にはてなマークを浮かべているすっと小指を出してくる。
『なに?』
私が聞くとこっちこっちと手招きをされる。
意味のわからないまま私は空雨に近づく。
そして―…
『遠足、ぜってぇ行くから。約束』
そう言って改めて出された小指。
行けるなんて確信はない。まだ、退院の目安さえついていない。
だけどそんなこと考える余裕なんてなくて。もうそれだけで嬉しくて。
私はうん!と頷いてその小指に自分の小指を絡ませた。
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