「腹ペコな二人に朗報です。お弁当はないけど、出るときにカレーを仕込んできたから、家に帰ったらすぐ食べられるよ」

「本当か!!」


間髪入れずに喜びの声を上げる陽仁と、目を見開く和人。
お弁当を詰めていただけかと思いきや、あの短時間でカレーまで作っていたなんて驚きだった。


「きっとはるくん、お腹空かせて帰ってくるだろうと思って、すぐ食べられるように作っておいたの」

「さすが真悠!!」


嬉しそうにガッツポーズする陽仁に、真悠はピースを返す。


「じゃあ私、一足先に行って仕上げしてくるから、二人はあとからゆっくり来てね」


いち早く駆け出した真悠が、家までの残りの道のりを全力で駆けていく。


「真悠ってさ、絶対いいお嫁さんになるよな」

「なんだよ、唐突に」


声が聞こえないくらいに真悠との距離が開いたところで、陽仁が遠くなる背中を見つめながら言った。

突然のことに和人が怪訝な視線を向けると、そんな和人に視線を移して、陽仁はニカッと笑う。


「ずっと、そう思ってたってだけの話だよ」


いつもと変わらない、能天気な笑顔。けれどその言葉に、和人の心はどうしようもなくざわついた。