会長からの電話に酔いも回らず優也は溜息ばかり吐いていた。飲み終わった缶ビールを眺めてはもう一本飲もうかと考えた。
「やめた、明日、茜を送って行かなければならないんだ。」
呟きながらキッチンへと行くと流し台の中へと空き缶を放り投げた。缶が跳ね上がり流し台から転げ落ちるとそれを屑籠へと放り込んでしまった。
優也は自分の部屋へと入るとそのままベッドへ飛び込む様に寝そべった。枕に頭を埋めてしまうとシーツを握り締めていた。
『お前から茜に伝えて欲しい事がある』
会長の言葉が耳から離れない。何度も何度も繰り返し聞こえてしまう。そして、茜が友達と楽しそうに話をする笑い声に、あの時車内で見た光一の名前の入った離婚届。何もかもが走馬灯の様に優也の頭の中を次々と駆け巡っていた。
「美佐が離婚したら俺はどうしたいんだ?」
優也は仰向けになると枕を抱きしめた。そして、枕を持ち上げるとその枕をカーテン目がけて投げつけた。
「怒ると枕を投げるのは母子同じだよな・・・・」
ベッドから下りると投げた枕を取りまたベッドへと寝そべった。
「俺はどうしたいんだ?」
急に酔いが回ったかのように瞼が重くなった。一度目を閉じその後目を開けようとしたが、重くなった瞼を開けることが出来ずにそのまま眠ってしまった。



