その夜、部屋へ食事が運ばれてきたが、まるでお通夜の様に三人は黙ったまま食事をしていた。


 優也と茜は隣同士に座り、二人の前に美佐が一人座っていた。大き目のテーブルに三人の食事が運ばれてきたが、どれもこれも美味しそうな山菜料理がメインだが、三人ともあまり食が進まなかったのかあまり手つかずな状態だった。



「茜、食べたくないのか?」

「・・・・そんなんじゃないけど。」

「明日帰るのがそんなに不満?」



 優也の言葉に茜は完全に剥れていた。

 美佐と一緒に温泉へ来れたことがかなり嬉しかったのだろうに。そんな茜の気持ちを無視されたようで優也に対して剥れていたのだ。


 食事もそこそこに茜は庭へと出てしまった。夜の遊歩道を楽しめる様に外灯が足元を照らしていた。そんな遊歩道へと出てしまった茜は暫く帰ってこなかった。


 美佐はまだ茜が子どもなのだと感じると、こんな無茶な結婚をさせた父親を恨んだ。それに、その命令を素直に受けた優也へも同じ感情を抱いていた。



「茜のところへ行って頂戴。」

「茜は俺に怒っているんだろう? そんな俺が行けば逃げるだけさ。」

「あなたは茜の夫でしょう?! 私は母親なの!」

「分かったよ」


 美佐に逆らえないのは分かっていながらも、優也は茜より美佐の方が心配だった。もし、目を離した隙にまた逃げられるのではないかと。