「お祖父ちゃん!! 新婚旅行って私達が決めるものでお祖父ちゃんが勝手に決めていいはずないでしょ!!」
茜の電話の先は会長である祖父だった。
茜の物言いに優也の顔は真っ青になっていた。例え、結婚によって会長と縁続きになったとはいえ、優也は会長の忠実なる部下なのだ。その部下である優也が会長に逆らえるはずはない。
「あか・・ね・・・・ちょっと・・・?」
優也は青白い顔をしたまま、ソファーに座る茜に待ったをかけようとしたが、茜はそんな優也にストップと手を出して優也の動きを止めた。
茜のその動作一つ一つが豪快で威厳のある動きに優也は自分が庶民出の力のない男なのだと思い知らされている気分だった。
「ねえ、茜? あのさ・・・・」
「優也さんは、黙ってて!」
「は・・・い」
会長が電話の相手では優也には勝ち目はない。会長と孫の茜の会話にはとても入っていける状態になかった。
優也の困惑する顔など茜には関係なかった。今は、新婚旅行を自分達の希望する所へ行くことだけしか頭になかった。



