翌朝、茜が目を覚ますと既に時計の針は朝7時を過ぎていた。慌てて起きると洗面所へと行き洗顔をしブラシで髪を整えると鏡で全身を眺めた。
「ご飯食べた後に着替えても大丈夫だよね?」
室内着のままリビングへと行く。リビングの窓はどこもかしこも全開で朝の気持ちのいい風が部屋へと入っていた。
「気持ちいい」
秋の清々しい空気は少しひんやりし始めていた。日中はまだ暑いが朝と夜は随分気温が低くなり過ごしやすくなった。
「お目覚めかな? 我が愛しの姫様は?」
「おはよう! 朝ごはんの準備私も手伝う!」
昨夜二人で話をしたことが二人の距離を少し縮めたようだ。炊事を手伝おうとする茜を優也は優しい瞳で見ていた。
朝から女の子の明るい声が自室に響き渡るのは良いものだと、優也は女の子一人の存在で部屋がこれ程に明るくなるのは嬉しかった。
「優也さん、今朝はご機嫌なのね?」
「まあね、可愛い姫様の笑顔が見れるからね。」
「冗談が上手いんだから!」
茜は面と向かってそんなセリフを言われたことがなくて恥ずかしかった。それでも、夫の優也に嫌われていないのならこの生活も上手くいくのではないかと期待もした。



