素敵な夜はあなたと・・・


「茜、下着はこの袋に入れてここの籠に入れてくれればいい。後は俺が洗濯しておくよ。」

「え? でも、そんなの悪いわ。」

「いいよ、慣れているから。乾燥し終えたらこっちの籠に入れておくから、それは茜に任せるよ。それでいいかな?」


 茜はそれならできそうだと頷いた。


 これからの主婦としての生活に不安を感じていると優也には直ぐに分かった。けれど、お嬢様として何もせずに育った茜にいきなり主婦業は難しいと感じた優也は、茜には家事仕事をして貰いたいなどと言う期待は一切していなかった。


 これまで自分が送って来た生活と何ら変わりはないと思っていた。ただ、そこへ預かった小娘が一人いると思えばいいと、優也はそう感じていた。



「さあ、風呂へ入っておいで。」

「はーい」


 まだ幼い茜の表情にこの縁談では可哀想な事をしたと優也は心を痛めた。浴室へ向かう茜の後姿を見つめ乍らランドリールームの戸口の所にもたれ掛かり腕を組んでいた。


 茜が浴室へ入るのを見届けると大きく溜息を吐いた優也はキッチンへと向かった。そして冷蔵庫の中を確認すると「弁当って必要なのか?」と頭を捻っていた。