茜は洗面所に洗濯機がない事に気付き廊下から顔を出すとリビングに居る優也に聞こえるくらいの大きな声で呼びかけた。
「ねえ、優也さん、洗濯機はどこなの?!!」
茜の声にビックリした優也は何事かとキッチンから急いで洗面所へとやって来た。
ドタドタと重い足取りが聞こえてくると茜は洗面所から廊下へ出ては他のドアを調べていた。
「どうしたんだ?」
「洗濯物はどうするの?洗濯機がないわ。」
「ああ、それならランドリールームがある。」
「専用室があるのね」
優也に案内されると茜の部屋とは反対側の奥にあるドアがランドリールームになっていた。洗濯をしたりアイロンがけをしたりと家事室になっている。家事室にしては割と広めの部屋で、その部屋からベランダへ出られるようになっていた。
そのベランダには洗濯物が干せるようなスペースが作られていて、外観を崩さずに干せるように、ベランダの塀の高さに合わせて物干し竿が設置されていた。
「一応干せるスペースも十分あるけど、乾燥機を使うと早いし楽だからね。」
「衣類乾燥機ね・・・・うん、分かった。」
そう言いながら洗濯機や衣類乾燥機を眺める茜の瞳は少し不安気な様子だった。そんな茜を見て優也はお嬢様育ちで大事にされていたのだと感じた。



