ガタンゴトン


揺れる電車の中私と茉凛ちゃんの2人きり。


絶えず話題を振ってくれる茉凛ちゃんのおかげで話は途切れない。


でも私は上の空。


茉凛ちゃんの話は右から左へと流れている。


すると呆れた茉凛ちゃんは


「ひなたちゃん!どうしたの!さっきから空返事ばっかり!」


いきなり大きな声でいうもんだから驚いた私は


「えっ!?ああ、ごめん…」


ありきたりな返事しかできなかった。


知り合ったばかりの茉凛ちゃん。


でも、すでに私の心を理解しているようで


「望月先輩のことかんがえてたんでしょ?」


ズバリと私の考えていることを当てられた。


「い、いや、そんなことないよ…」


考えていること当てられて焦った私はとっさに誤魔化す。


「そんなことなくないよ!わかるよ!知り合ったばっかりだって!」


私ってそんなにわかりやすいかな?


「知り合ったばっかりだけど…私はひなたちゃんのこと理解したいって思ってるから!私はもう、友達だと思ってるから!私でよかったら話してね!」


それだけ言うと茉凛ちゃんは立ち上がり、


「それじゃあ私この駅だから。また明日ね!」


そう言って電車から降りていった。


ごめんね。


茉凛ちゃん。


もう少ししたら話すから。


話せると思うから。


この話は私と彼だけの秘密。


この話をしたらきっと茉凛ちゃんは軽蔑する。


嫌いになる。


『友達』なんて言ってくれなくなる。


受け止めてくれたのは望月さん。


彼だけだったから。