笑顔でスキップしている茉凛ちゃん。
の、隣で緊張でガチガチに固まっている私。
果たして彼は私のことを…
ああもう!考えるのはやめた!
会って見なきゃわかんないもん!
シューズの音が心地よい体育館に二人で足を踏み入れる。
「あ!もしかして!見学希望の子!?入って入って!」
と、マネージャーの方に腕をひかれ強引にバスケ部が練習している側に連れていかれる。
そこには入部希望だと思われる男子も何人かいる。
「みんなー!集合!」
「「おうっ!」」
マネージャーの方の一言で集中して練習していた部員が集まってくる。
「えっと何から紹介しようかな。まず!この部は創部二年目です!経験者も初心者もマネージャーもたくさん募集してます!私は2年のマネージャー山口奈子。こっちが部長の」
「そんな早口で説明してもわかんないだろマネージャー!」
とても早口で話す奈子先輩に部長さんがツッコミを入れる。
全然聞き取れなかったな。
「え!創部二年目なんですか!?」
茉凛ちゃんは聞き取れていたみたいだ。
すごいな。
「そうなの!だから部長も副部長も部員もみんな2年生」
「俺が部長の大滝耕平。よろしくな」
部長の耕平先輩から順に自己紹介をしてくれた。
全然覚えられない…。
そんな中私が探している人はここにはいない。
約一年前のあの日。
絶望の淵に立っていた私に光をくれた彼。
ここ長濱商業高校バスケ部の副部長、望月俊さん。
私は彼の背中を追ってきた。
「お!望月!」
その声に体育館の入口を振り返って見ればそこにはあの時と変わらない笑顔の彼がいた。