2回戦、3回戦と順調に勝ち進んだ私たち。


次は決勝戦。


勝てば優勝。


なんだけど、、、


「村上。相手2-2だぞ」


「やばくない?」


そう、決勝戦の相手2-2はバスケ部の先輩、耕平先輩、望月先輩、それに奈子先輩までいる。


超手強いクラスだ。


奈子先輩は試合出る訳では無いらしいけど


「勝てるかな…?」


望月先輩と試合するなんて…。


「『勝てるかな』じゃねえ。勝つ」


光牙の一言で、不安そうだったみんなもやる気が出てきたみたい。


「よし。みんな、どっちにしろこれが最後だから気合入れて頑張ろ!」


「なんか引退試合みたいじゃん」


「勝とうな!」


みんな揃ってコートに入る。


と、先輩達もコートに入る。


すると望月先輩がこっちに寄ってきて


「ひなた。さっきから試合出てたろ?無理すんなって言ったよな」


と声をかけてくれた。


軽く怒られたはずなのに少し嬉しいと思ってしまう私。


「怪我してからじゃ遅いんだぞ」


「すいません」


私はペコっと頭を下げる。


「んまあ、気をつけてな。あと、俺達が勝つからな」


私の頭に手を置いてニコッと笑った。


反則だ。


「まっ負けませんからっ!」


私の言葉を聞いて先輩はクラスメイトの元へ戻っていった。


「村上さん?顔赤いよ?」


「う、うるさい!」


自分でもわかってるよ。


最初は望月先輩が幸せならそれでいいって思ってたけど、今ではもう私がそばにいたいって思いはじめてる。


望月先輩が好きなんだ。


「なーにニヤニヤしてんだよ。始まるぞ」


望月先輩に触れられた私の髪をわしゃわしゃとしながら光牙が言ってくる。


「わ、わかってるよー!」


乱れた髪を整えながらみんなの集まっている方へ行く。


その様子を気に食わないという顔で見ている人がいたなんて全く気が付かなかった。


コートの真ん中で一列ずつに並んだ。


「それでは2-2対1-3の決勝戦をはじめます」


ピピーッ


ホイッスルと同時に朋樹が飛び上がった。


「1-3ボールからだ!」


朋樹が弾いたボールは私のところに飛んできた。


とりあえず裕也に一本決めてもらおうかな。


「裕也」


「任せて」


裕也はにっこりと笑顔を見せてシュートをうった。


裕也の放ったボールは綺麗な放物線を描いて真っ直ぐゴールへと吸い込まれていった。


周りの女子達から歓声が上がった。


「ちっ。小川さすがだな。こっちも負けてらんねー」


あ、やばい。


耕平先輩スイッチ入っちゃった。


「こっちも行くよ」


望月先輩が言うと先輩たちの目が変わった。


本気でやばいかも。


その時誰かに肩を組まれた。


横を見れば光牙の姿が。


「肩に力入りすぎ。リラックスしろよ。お前らしくない」


『肩に力入りすぎ』かぁ。


確かにそうかも。


相手が相手だし緊張してる。


「司令塔の私がこんなんじゃダメだよね!ありがと光牙!」


光牙のおかげで緊張がほぐれた気がする。


すごいな、光牙は。


こりゃモテるわけだ。


うっ。


周りの女子たちの目がいたいです。


ごめんなさい。


「何よそ見してんの」


裕也に肘でつつかれた。


「ごめんごめん」


「しっかりしてよ?キャプテン」


私キャプテンだったの…?


「村上!」


ぼーっとしてたら光牙からのパス。


それをキャッチしてドリブルの体勢に入る。


すると目の前には望月先輩が。


「俺を抜いてみ?」


1on1ですか?!


望月先輩と!?


「わかりました」


キュッ


体育館の床とシューズが擦れる音が心地よい。


ずっとバスケしてたいな。


そんなことを考えながら右へ行く。


と、


「そんなフェイントじゃダメ」


ボールはあっさり取られてしまった。


そのまま望月先輩はシュートをうった。


かっこいい。


とか思ってる場合じゃなくて


13対6


結構厳しい。


第1Qは残り3分。


「大滝!」


2年生から耕平先輩へ渡ったボール。


耕平先輩はシュートをうつ。


決めさせない。


私は素早くゴール下へまわりこんだ。


ガコンッ


大きな音を立ててはじかれたボール。


それに向かって手を伸ばす。


2年生も同じタイミングで飛んだ。


「っ!!」


私から声にならない声が漏れた。


「ひなた!」


「村上!」


みんなが駆け寄ってくる。


そう、私は2年生と空中でぶつかってそのまま2人床に倒れ込んだのだ。


運悪く肘から倒れてしまった。


「保健室行くぞ」


その言葉と同時に私の体は浮き上がった。


お姫様抱っこされてる…?


突然の出来事に驚きながらもあまりの痛さに声も出せない。


「大丈夫か?村上」


私をお姫様抱っこしているのは光牙だった。


私は痛みに耐えながらうなづいた。