今日は球技大会の日。


授業は今日はお休み。


1日かけて球技大会を行う。


私たち1-3の初戦の相手はなんと3-5。


いきなり3年生だ…。


「大丈夫だろ」


「光牙」


3年生と言っても、初心者の方ばかりだ。


でも体つきが違うよ。


しかも男子ばっかり。


「あれー?女の子いんじゃん?俺ら勝てそうだなー」


3年生がヘラヘラと笑いかけてくる。


「先輩、調子に乗ってると負けますよ?」


光牙が私の前に立って先輩に言う。


「なんだよ1年。お前の方が調子にのってんだろ?」


光牙の胸ぐらを先輩がつかむ。


喧嘩になっちゃう。


止めなきゃ。


「光牙。ダメだろ先輩にそんな口聞いちゃ」


裕也が先輩の手を解きながら光牙に向かって言った。


「すいません先輩。始めましょう?」


「ちっ。わかったよ」


裕也すごい。


裕也の一言でみんなが定位置につく。


朋樹のジャンプボールから始まった。


球技大会のバスケは時間の関係で第2Qまでしか行わない。


「「きゃーー!裕也くん!!!」」


「「光牙ーーー!!!」」


モテ男の光牙と裕也がいるからか女子が集まってきた。


怖いな…。


ギャラリーをきょろきょろと見渡して見ると茉凛ちゃんの姿があった。


茉凛ちゃんも私に気づいたようで、大きく手を振ってきた。


私は茉凛ちゃんに笑いかけてコートの中に集中する。


すごい。


裕也ホントにシュート上手すぎ。


そうこうしてるうちに第1Qは終了した。


第1Qは12-8で私たちがリードしてる。


このまま行けば勝てるかも!


5分間のインターバルに入る。


ギャラリーにいた女子たちが光牙や裕也のところに群がってくる。


「はい、光牙飲んで!」


「お疲れ様!」


「裕也くんこれ食べて!」


「かっこよかったよ」


皆さますごいガッツですね…。


「ひなたちゃんお疲れ様。かっこよかったよ」


茉凛ちゃんがタオルとスポーツドリンクをくれる。


「ありがとう。茉凛ちゃん」


「そーいえばさひなたちゃんたちの相手のあの3年生って学校1モテる先輩だよね?」


「どの人?」


真凛ちゃんがその人を指さすと私たちと目が合ってニコッと笑いかけてきた。


『木下先輩』と呼ばれるその人も光牙や裕也と同じように女子に囲まれていた。


この学校はどんだけイケメンがいるんだ。


「ちょっとごめん。通して」


と言いながら女子の群れから抜け出す光牙。


え、なんかこっちに向かってきてない?


そして光牙は私の隣に座ってきて


「気をつけろよ」


と言った。


「何が?」


「先輩たち。なんか村上狙われてるみたいだぞ」


それだけ言ってコートに入っていった。


「よくわかんないけど気を付けてね、ひなたちゃん」


茉凛ちゃんに背中を押され私もコートに入る。


どういうことなんだろう。


そうして第2Qが始まった。


木下先輩にボールが渡る。


そして私の前に来た。


1on1やる気?


「へぇー。なかなか可愛いじゃん。でも、ここは女の子がいるとこじゃないと思うよ」


と言って私を抜こうとする。


1on1で私は負けたことないんだけどな。


余裕そうに私の前でドリブルする木下先輩。


そのボールをさっと取ってシュートを打った。


「村上ナイスシュート!」


私はほっとする。


決まってよかった。


後ろからしたうちが聞こえた気がした。


周りにいた女子の先輩たちは


「木下くんが…」


「何なのあの子」


と言ってる。


怖いな先輩たち。


だからといって負ける気はない。


また木下先輩がボールを持ってやってきた。


1on1ならもういいでしょ。


木下先輩のボールに手を伸ばした瞬間。


「いったぁ」


私は転んでしまった。


先輩たちの笑い声が聞こえる。


「村上っ!」


光牙たちが駆け寄ってくる。


今、足かけられた。


たまたまじゃない。


絶対にわざとだ。


先輩は目を合わせて笑ってる。


「お前ら卑怯だぞ!」


光牙が声を荒げた。


「先輩に向かってそんな口の聞き方はないんじゃないか?1年生?」


すごい上から目線で言ってくる。


なんでこんなのがモテるのよ。


「光牙。裕也。朋樹。純」


私は四人を呼んで


「勝てばいいのよ。勝てば何も言えなくなるわ」


と、囁いた。


「さすが司令塔」


「お前も案外負けず嫌いなんだな」


「やるしかねえな」


「イケメンに負けたくないわ」


こうして本気になった私達は


ピピーッ!


「試合終了です!」


「「ありがとうございました」」


32-10という大差で勝った。


「やったな!」


「このまま優勝するぞ!」


2回戦へと進んだ。