あれからしばらくたって5月も終わろうとしていた。
望月先輩とは毎日登下校しているがこれといった進展はない。
茉凛ちゃんの方も宮本先生のことを見つめているのが精一杯みたい。
「ひなたちゃん。球技大会何出る?」
この学校は5月の終わりと12月のはじめに球技大会がある。
バスケ バレー サッカーの3つの競技をクラス対抗のトーナメント形式で行う。
それぞれの競技で順位をつける。
競技はすべて男女混合。
男女の比率はクラスによって違う。
男子の方が有利だから基本男子が多い。
「茉凛ちゃん出る気なの?」
「え?私は出ないけどひなたちゃんはバスケ出るのかなって」
「そうだぞ」
と、私と茉凛ちゃんの話を割って入ってきたのは光牙だった。
「村上に出てもらわないと困る。俺と裕也と村上。それに運動神経抜群のあいつらが出れば俺ら優勝間違いなし」
ニッと歯を出して光牙は笑った。
「ちょ、ちょっと待ってよ。私出れないよ」
怪我のこともあるし。
それに男子に混ざってなんて出来ないよ。
「村上さんって松尾中出身なんでしょ?」
光牙の後ろからひょいっと出てきた裕也。
なんで知ってるの。
「おいまじかよ!それを早く言えよ」
「しかもキャプテンでしょ?」
おいおい、どこまで知ってるの裕也。
「え、松尾中って女子バスケが一番強いとこだよね?ひなたちゃんすごっ!」
茉凛ちゃんまで入ってきたよ。
「待ってよみんな!私怪我してるんだよ?」
「怪我のことなら心配いらないよ。PGだったんだろ?動かなくてもいい。僕達に指示して欲しい」
PG(ポイントガード)とはバスケのポジションの一つで、状況を読んでみんなに指示を出したりする。
よく『司令塔』と呼ばれる。
バスケのポジションは他にSG(シューティングガード)SF(スモールフォワード)PF(パワーフォワード)C(センター)がある。
SGはシュートが得意な人が多い。
チームの得点源。
SFはオールラウンダー。
ドリブル、シュート、スピードの全てが要求される。
PFはコート全体を走り回る。
チームの壁にもなったりする。
Cはゴール下の守護神。
守備の要だ。
と、バスケの説明はこれくらいにしよう。
「裕也の言う通り。俺らに指示だしてくれればいいよ」
光牙と裕也の説得に負け、私は球技大会のバスケに出ることになった。
「私が出るからにはビシバシ行くよ!負ける気なんてないからね」
私が手を差し出すと
「おう」
「よろしくね」
がしっと握手をする。
さ、球技大会がんばろう!