支え愛



そんな光牙とたわいもない話をしながら体育館へ入る。


「結城くん!ひなたちゃん!遅い!」


奈子先輩が鬼のような形相で走ってくる。


何かしましたか私たち!?


「本入部の日は色々やることあるから早く来てねって言ったわよね!」


あ、忘れてた。


「すみません!」


必死に謝る私の横で突っ立っている光牙。


「ほら!光牙も謝ってよ!」


「あ、すんません」


テキトーだなこいつ!


もうやだ。


本入部初日からやらかしちゃった。


奈子先輩に怒られていると


「わりぃ。遅れた」


耕平先輩が遅れて入ってきた。


「耕平!遅いよ!部長のあんたがいなくてどうするのよ!」


「ごめんって。さ、始めよ」


「ホントに自由なんだから」


なんだか奈子先輩と耕平先輩って仲いいな。


とか思っていたら自己紹介が始まった。


先輩はマネージャーの奈子先輩を含めて6人。


先輩5人でよく試合できてたな。


怪我とかしたらどうしてたんだろう。


そして1年生は私を含めて5人。


実質1年生の選手は4人。


しまった。


来年試合できるかな?


経験者は光牙。


そして、私や光牙と同じクラスで光牙と同じ中学から来たという小川裕也。


バスケの強豪校出身でスタメンだった2人。


こりゃ先輩たちが一目置くわけだ。


ほかの2人は初心者。


これからが楽しみだね。


「はぁぁぁぁぁ」


「ん?どした?奈子」


奈子先輩の大きなため息に耕平先輩が心配そうに尋ねる。


「1年生入ってくれたのは嬉しいけどさ、人数が微妙なのよね。二年生と合わせて9人だから練習の時に試合できないじゃない!」


「あ、たしかに」


それは確かに問題ですね。


ゲーム練習ができないのは結構つらいな。


「あ!」


ん?


奈子先輩がキラキラした瞳で私を見ている。


「ひなたちゃん!確かバスケやってたんだよね?」


嫌な予感しかしない。


「ゲーム練習だけでてくれないかな?」


両手をくっ付けてお願いされても…。


どうしよう。


困ったな。


「山口。ひなたは怪我してんだ。ゲームとか厳しいと思うぞ」


望月先輩が私の代わりに説明してくれた。


でも、私は何のためにここに来たの?


望月先輩に恩返しするためでしょ。


ゲームの練習ができなくて困ってるならどうにかしなきゃ。


私が参加すれば済むのならやるしかないでしょ。


「望月先輩ありがとうございます。でも、軽くならできますよ。みなさんのお役に立てるならやります!」


「ひなた。ほんとに大丈夫か?」


「はい」


やっぱり望月先輩優しいな。


「痛くなったらすぐ言ってな。無理すんなよ」


「はい!」


こんな私を心配してくれる。


ここに来られてよかった。


「ひなたちゃんありがとう!」


奈子先輩に腕をつかまれる。


そして全力の笑顔を向けられた。


茉凛ちゃんみたいな人だな。


みんなを笑顔に出来る。


そんな素晴らしい人。


私もこんなふうになりたいな。


「あ!」


でも、とても騒がしい人です。


「一応確認してもいい?」


「なんだよ」


「入部届けみんな出したよね?」


…。


「どうしたの?黙り込んで?」


…。


「出してねえやつ手ぇ挙げろ」


怖いです。


奈子先輩。


顔が鬼です。


「「はい」」


私が恐る恐る手を挙げると、私の他にも手を挙げた人が。


「望月くん。ひなたちゃん」


それは望月先輩で


「今すぐ出してきなさい!!」


「はい!」「いってきます!」


私と望月先輩は鬼のような奈子先輩から逃げるような形で体育館を飛び出した。