なくした時間にいてくれた

部屋にあるものを一つ一つ確認する。置いている物の位置は基本的に変わっていない。机の上にある教科書をこんなふうに置いたかなと気になるくらいだ。

そういえば、カバン……病院から持って帰ってきたカバンを開ける。

私は学校にいて、母から連絡があり、タクシーで病院に行ったらしい。母から聞いた話によるとそれは事実らしいけど、その一連の流れをした覚えがない。

知らないうちに動いていたなんて、私は夢遊病にでもなっていたのだろうか。

自分は寝ていると思っていたけど、体は勝手に動いていた。

首を何度も横に振る。寝ているのに体が動くなんてあり得ない。寝ぼけていたにしてもおかしすぎる。

でも、記憶喪失になったか、夢遊病になったかしか考えられない。普通に考えて、二か月の記憶がないのは記憶喪失なのかな。

カバンから英語のノートを取り出した。最初の方は私の筆跡だが、途中からは私が書いたものではなかった。