なくした時間にいてくれた

おばあちゃんは早々と花実の横に立っていた。花実の顔をおそるおそる見る。


「眠っているみたい……」

「こうして見ると今までとなんにも変わっていなくて、生きているように見えるわよね」

「うん……」


そこにいた花実は小さい頃から変わらない寝顔で、本当にただ眠っているだけで生きているように見える。呼んだら起きそうだ。


「花実?」


だから、思わず呼んでしまう。でも、反応は何もない。そっと手を伸ばして花実の頬に触れる。すごく冷たくはないけれど、生きている温かさはない。

本当に死んじゃったんだ。

まだ16才なのに……あれ? 今日は何日?

ベッド横にあるサイドテーブルにはかわいいピンク色の花が飾られてあり、その横に卓上カレンダーがあった。

カレンダーは11月。


「おばあちゃん……今日って、何月何日?」

「11月7日だけど、どうかした?」

「11月7日? 私、そんなに寝てたの? 二か月も?」