なくした時間にいてくれた

花実が眠る病室まで祖母に案内してもらった、

ここはどこの病院だろう?

病院だとは分かるけど、見たことのない景色だった。初めて見る廊下と、通過していく病室を横目でチラチラと見ながら祖母の後に付いていった。

祖母が立ち止まってドアを開けた病室の入り口の壁には『松本花実』とプレートに名前が書いてあった。花実はここに入院していたようだ。

私はさっき寝ていた病室に入院していたのだろうか。

それにしても、事故から何日経ったのだろう、

長い間寝ていたように感じたけど、さっき私が寝ていた病室は簡易的な感じで何日も入院している部屋には見えなかった。

出るときに部屋のプレートを見たけど、この部屋とは違い、何も書かれていなかった。

それにずっと寝ていたわりには体がすんなり動く。頭はぼんやりするというか重いけど、体は軽い。よく寝て疲れが取れたからかな。でも、変な感じがする。


「楓花ちゃん、どうしたの? 早く入ってドアを閉めて」

「あ、うん」