急いで病院に行かなければいけない事態って、なに?

私の体に何が起きているのか分からないけど、とにかく急がないと!

急いで食べかけのお弁当を片付けて、教室に戻り、カバンを持つ。先生がタクシーを手配してくれた。

岡くんはタクシーに乗る私についてきてくれていた。


「気を付けて。大丈夫だから落ち着いて」

「うん、ありがとう」


膝の上で震える私の手を強く握ってくれた。

岡くんに見送られてタクシーは病院へ向かう。窓から見えた空は少し雲が増えたくらいで朝と変わらない青空。

両手を絡めて胸に当て、天に向かって祈った。何事もありませんように。無事元に戻れますように。


しかし、願いは儚く散る。

病院に着いて、入院している部屋に走っていき、ドアを開ける。

そこには酸素マスクをしているものの苦しそうな私の体があった。ただ眠るだけの静かな体だったのに何で?

何が起こっている?

元に戻るための異変?


「楓花! 早くこっちに来て」