なくした時間にいてくれた

『花実ちゃん』


久しぶりに自分の名前を呼ばれた。


「なに?」

『松本さんのことを考えてあげる花実ちゃんは優しいね。元に戻ったら、経験したことと俺と話したことを教えてあげてね』

「うん……」


元に戻ったら、私は自分の学校に行けるし、自分の友達とも会えて話も出来る。それは望んでいることだからとても嬉しいこと。

だけど、その時から岡くんと話すことはなくなる。

寂しいけれど、仕方がないこと。本来ならば私達が話をすることはない。


「岡くんにお願いがあるの」

『お願い? なに?』

「お姉ちゃんが戻ったら、混乱すると思うから支えてあげて欲しい。家ではもちろん私が支えるけど、学校では岡くんにお願いしたい」

『うん、分かった。俺もずっと松本さんの力になれたらいいなと思っていたから、元に戻った時には出来る限りのことをするね』

「ありがとう」


その後、元に戻る方法が見つかったか話をしたが、お互い何も見つかっていなく、困ったねと話した。