なくした時間にいてくれた

さっき一生話し掛けないでと言ったと言ってた。つまり小池さんには元のような友達に戻る気はないということ。

それでも、かつて友達だったのなら、もしかして揺れ動く気持ちもあるのでさないかと思う。


「覚えていないとかなんなのよ。友達？ 私は友達だと思っていたけど、裏切ったのは楓花でしょ？ 都合の悪いことは忘れた振りするんだ。忘れた振りをして岡くんに近付くなんてずるいよね！ ほんと最低」


最後の『最低』を吐き捨てるように言って、小池さんは走り去って行った。

少ししか話せなかったけど、お姉ちゃんと小池さんの仲を修復するのは難しいと感じる。

裏切ったのがお姉ちゃんだと言っていたけど、違うと思う。そう思った経緯は分からないけど、裏切られたと思ったのは誤解じゃないかなと思う。

お姉ちゃんは友達を裏切る人ではない。

岡くんとお姉ちゃんの間に何かあって、それを知った小池さんが裏切られたと思ったのだろう。何があったのかが気になるけど、小池さんにはもう聞けない。

お姉ちゃんにもちろん聞けない今、あとは聞ける人といえば岡くんだ。