なくした時間にいてくれた

知りたいと思っても知ってはいけないこともある。だけど、小池さんと少しでも話すことは出来ないかな。

高校生活はあと数ヵ月しかないけど、悔いのないようにして欲しいな。甘い考えかな。

でも、何も出来ないで止まっていては何も変わらない。もしかしたら、お姉ちゃんは望んでいないかもしれないけど、以前のように仲良く出来る可能性はゼロではないと思う。


それから一週間後、悩みに悩んで小池さんに話し掛けた。


「あの、小池さん。ちょっと聞きたいことが……」

「今忙しいんだけど」


どう見ても忙しそうには見えなかったから声を掛けた。ホームルームが終わったばかりで一時間目の授業が始まるまで時間はある。


「悪いけど、あとにしてくれる? 私、隣のクラスに用事があってすぐに行かないといけないから」


私の顔を一切見ないで、彼女は一気に話して足早に教室を出ていった。明らかに避けているのが分かる。