なくした時間にいてくれた

外を眺めていたら、ハンバーガーショップに入ってくる三人組が見えた。加奈たちだった。

まさか会えるなんて嬉しいと、思わず声を掛けたくなったけど、だめだと我慢する。

声が何とか聞こえる席に三人が座ったので私は耳を澄ませて三人の会話を聞いた。私もその中に交じりたい。


「今日の体育、暑かったよね。外を走らせるなんて、もう辛かったー」

「ほんと! 疲れたよね」


今日は体育で外を走ったんだ。天気がいいから暑かったよね。みんなで文句を言いながらも楽しそうに走ったんだろうな。

今、私は話す人が誰もいない。授業で一番体育が嫌いかも。前は好きだったのに。


「そういえば体育が終わって教室に戻った時にね、柴山くんに花実のことを聞かれたよ。いつ退院できそうか知ってる? って。知らないから知らないとしか言えなかったけど、絶対花実のことを気にしてるよね。あー、花実に教えてあげたい」

「えー、マジで? 花実、それ知ったら飛んで大喜びするよ、きっと!」