なくした時間にいてくれた

一人では抱えきれなくなっている今の状況をこの人なら真剣に聞いてくれて、受け入れてくれるんじゃないかと思った。

まだ出逢って日は浅いけど、話してみようと決意する。


「本当に本当に変なことを言うけど、聞いてくれる? 私自身も信じられないことなんだけど」

「うん。じゃあ、あそこで座って話そう」


近くにあった遊具もない小さな緑地公園には木のベンチが一つだけ置いてあった。私たちはそこに座る。

公園には他に誰もいなかった。


「私松本楓花じゃなくて、松本花実なの」

「えっ? あ、もしかして双子? そうか、なるほど!」

ううん、違う、違う! 双子じゃなくて二つ下の妹なの」

「妹? そんなに姉妹似ているものなの? 雰囲気は違うけど、そのほくろの位置とかほぼ同じだよね? すごいな」


私とお姉ちゃんは今入れ替わっている状態だけど、岡くんは違う入れ替わりを思っているようだ。

私たちが行く学校を入れ替わっているのだと……。