なくした時間にいてくれた

「うん。前からずっと気になっていて、どうにかして話せないかなと思っていた」

「前からって、いつから?」

「三年になって同じクラスになってから。一度だけ話したけど、それきりだったし。何度も話そうとしたけど、俺のことを避けているのか目も合わせてくれないから困ったよ。どうしたらいいのかと悩んでいるうちに一か月、二か月と時だけが過ぎていってね」


聞いていると、岡くんは以前からお姉ちゃんを気にしていて話し掛けたくても話し掛けれない状態で……なんだか告白みたいにも聞こえる。

好きとまではいかなくても気になる存在だったようで、惹かれていたみたいだ。

苦しそうだけど、真剣な眼差しになんと答えるのが正解だろうかと考える。

秋を感じる風が吹いて、前髪を乱す。前髪だけでなく私の心は今岡くんによって乱されている。

心を落ち着かせるように乱れた前髪を直してから、口を開く。