なくした時間にいてくれた

「無理するなよ。笑ってる顔が無理してる。俺に出来ることなんかないかもしれないけど、困ったことがあるならいつでも言ってよ。少しでも力になりたい」

「どうして……そんなことを言ってくれるの?」


今まで話すこともなかったというのに、どうして今はそんなに近付こうとするの?


「松本さんが前と違うから心配なんだ」

「そっか。でも、ほんと大丈夫だから。今日もありがとう!」


心配してくれるのは本当に嬉しいけど、これ以上距離を縮めてはいけないように感じる。元に戻ったときにお姉ちゃんが混乱するかもしれないから。

だから、食べ終わったし、帰ろうとした。でも、捕まえられてしまう。

背を向けた私の手首を岡くんが掴んでいる。思わず振り向いたが、岡くんが表情が苦しそうで私は目を丸くしただけで何も言えなかった。

なんでそんな顔しているの?


「逃げるなよ。心配もしてるけど、もっと松本さんのことが知りたいんだけど」

「私のことを、知りたい?」


岡くんは大きく頷く。