なくした時間にいてくれた

鏡で確認はしていないけど、顔色がよくないとは自分でも感じている。熱はないけど、体全体が重く感じる。

だけど、自分の体がちゃんと生きているか確認したい。毎日確認して、いつか元に戻れることを信じていたい。

そうしないといろんなことに押し潰されそうだ。本来の私の性格は前向きだけど、さすがに今の状態を楽観的に捉えることは難しい。

誰にも話せないから一人で抱えるしかない。だから、せめて自分の体を確認して安心したい。

伝わらない思いに顔が歪む。そんな私の手を母は掴んでソファに座らせる。


「花実のことが心配なのは分かるけど、お母さんは楓花のことも心配なのよ。だから、今日は体を休ませてね。明日、元気になったら連れていってあげるから」

「うん、分かった。花実がどんな様子だったか教えてね」


じっくりと母の顔を見て、無理強いは出来ないと思った。私の顔色が悪いと言うけど、母の顔色だってよくない。目の下は寝不足なのか黒ずんでいるし、肌にも艶がない。