なくした時間にいてくれた

そもそもお姉ちゃんが何を望んでいるか分からない。勝手なことをして怒らせたら、どうしようかと悩む。

怒られるのは構わないけど、悲しまれるのは困る。表面上だけの友だちならいらないからと作らなかったのかもしれない。

今、あの学校で頼れるのは岡くんだけだ。でもその岡くんと話しているとそれだけで恨まれそうになっている。


「あー、もう。なんで他に誰もいないの……」


知らない学校にいるだけで心細い。それなのに頼れる人がいないなんてもっと心細い。

もう学校に行きたくない。

お姉ちゃんは行きたくないと思わなかったのかな。誰とも話をしない学校なんて楽しくないから嫌だと思わなかったのかな。

誰かに相談したい。友だちと話したい。私の学校に行きたい。


「お母さん」

「どうしたの? どこか痛い?」

「病院に行きたい。花実を見に行きたいんだけど」

「お母さん、朝見てきたけど、なんの変化もなかったわよ。気持ち良さそうに寝てた。また夕方に行くつもりだけど、楓花は行かない方で休んでた方がいいんじゃない? 久しぶりの学校で疲れたでしょ? まだ顔色もよくないし」