なくした時間にいてくれた

初めて見る教室の風景は新鮮な感じだったけど、居心地のよいものではなかった。誰もが私に無関心というように私を見ない。

ただ岡くんに付き添われたときだけ、ものすごい視線を感じた。特に女子からの。

モテそうな人だなと思ったけど、実際モテる人なんだろう。保健室で聞こえた嫉妬っぽい話も岡くんが人気だからだろう。

そう考えると岡くんと話すのはやめたほうがいいかな。孤立しているらしいお姉ちゃんがますます孤立してしまう。

だけど、他に話してくれる人がいないし、どこに何の教室があるかも分からないし、どうしたらいいかな。

本当に一人も友だちがいないのだろうか。他のクラスにも?

友だちがいない学校。誰とも話さない高校生活。

そんなのつまらないし、寂しいし、悲しすぎる。お姉ちゃん……。

卒業まであと半年。いつお姉ちゃんの意識が目覚めて、私たちが元通りになるかは分からないけど、戻ったときに少しでもお姉ちゃんが楽しめる学校にしてあげたい。

何が出来るだろう。

何も出来ないかもしれない。