なくした時間にいてくれた

お姉ちゃんの行動と朝の状況と今聞こえる会話を繋げると、お姉ちゃんがいつも一人だったことが見えてきた。この学校にお姉ちゃんの友達がいる可能性は少ない。孤独だったから、よくここに来ていたのかもしれない。

ドアの開く音がした。先生が戻ってきたようで、絆創膏をもらいにきたという声が聞こえてきた。

用事がすんだ三人は「ありがとうございました」と出ていく。

シーンと静まったとき、カーテンが開かれた。


「気分はどうかな? 教室に戻れそう?」

「あ、すみません。もう少し寝ていてもいいですか?」

「顔色がまだ良くないわね。早退する?」

「はい……早退します」


30分後、母が迎えに来てくれた。一人でも帰れると言ったが、途中で動けなくなったら困るだろうと連絡してくれた。


「今、カバンを持ってきてもらうように頼んでいるから」

「失礼しまーす」

「来た、来た。岡くん、ありがとう」