なくした時間にいてくれた

「ねえ、松本さんさー、事故に遭ったらしいけど、どこもケガしてないよねー」

「そう! それなのに岡くんに付き添われるなんて、何様だっていうのよ。ほんと、アイツ出てこなくていいのに」

「ねえねえ、そこで寝てるんじゃないの? 聞こえてるかもよ」


三人の女子の声が聞こえて重い瞼をゆっくりと開ける。閉じたときに見た同じ真っ白な天井があった。

聞こえた声は聞いたことない声だけど、内容は私のこと……お姉ちゃんのことだ。


「別に聞こえてもいいよ。目障りだし。それよりも先生はどこに行ったのかな?」


お姉ちゃんはクラスで孤立してたのかな?

まさかいじめられていたとか?

朝、教室に入ったときに誰も近付いて来なかったのは、友達が一人もいないからなのかな。

他のクラスにはいるのだろうか。

でも、お姉ちゃんはいつも休みの日も家で勉強をしていた。多分、高校に入ってから一度も遊びに出掛けていない。