なくした時間にいてくれた

「花実はね、返してもらおうと思って助けたんじゃないと思う。誰かが困っていたり、悩んでいたら自然にそばに寄って、助けてあげたいと思って、行動を起こす子だった……」


花実を思い出して話すと涙が出そうになる。それを堪えるために唇を噛み締めた。祐介くんが私の手を握ってくれていた。

そこから「がんばって」というエールが伝わってくる。泣かないでちゃんと続けよう。


「だから……出来なかったことがあると後悔しないで。誰でもやりたくても出来なかったことがある。私もそうなんだけどね。でも、出来なかったからとその時には戻れはしない。だったら、どうしたらいいのかと考えると……花実のしてくれたことを思い出して、自分が他の誰かを助けてあげたり、花実に笑って報告出来るように進みたい道に歩いていくのがいいんじゃないかなと思うの。私は自分の夢を叶えるために進学するんだけど、みんなにも夢があるよね?」