なくした時間にいてくれた

「こんにちは。お久しぶりです。花実さんのお墓参りに来ました」

「こんにちは。ありがとうございます」


柴山くんは相変わらず礼儀正しく、頭を下げた。その様子に習って、他の子たちも頭を下げる。

花実の友だちはいい子ばかりだな。

私と祐介くんは場所を空けて、みんなに「どうぞ」と促した。

並んで順番に手を合わせて祈っていく。全員が終わるとまた柴山くんが頭を下げる。柴山くんはリーダー的存在なのかもしれない。

しっかりしているから納得出来る。


「ありがとうございます」

「ううん、こちらこそありがとう。花実のためにみんなでわざわざここまで来てくれて」

「今日、始業式だったんです。クラス替えもあって、みんなバラバラに違うクラスになってしまったけど、今まで通りに友だちでいようと話して、花実さんもずっと友だちだよねとなって、ここに来ました」

「花実のこともずっと友だちだと思ってくれるんだね。みんなありがとう。花実、きっと喜んでいると思うよ。みんな、優しいね」